雑記/西巷説百物語 読了(その1)
8/11 西巷説百物語/京極夏彦 読了。

巷説シリーズ5作目。ということで、京極夏彦です。
現時点では一番好きなシリーズものなので、少し長い
(私の駄弁が)です。
妖怪を題材に取っているが、実際に妖怪は出てこない。
よく言われているのが、必殺仕掛人みたいな話。
もちろん、江戸時代もの!
まあ、基本は悪人を仕掛けで懲らしめる訳だが、最後に残るのは妖怪の噂
(巷の噂)、つまり、妖怪の仕業のように始末してしまうという話。
悪人を懲らしめるってだけではなく、八方ふさがりの状況を解決したり、
たまには人助けであったり。

仕掛けを妖怪に見立てるというパターンの連作?短編(中編?)。
同じパターンでいろいろ趣向を変えた短編ってのが好きなのと、やっぱり、
”ゲゲゲの鬼太郎”世代で妖怪が好きってのもあるし、妖怪が題材なのに
実際には妖怪が出てこないってのが、京極夏彦の革命的なところ。
(京極の読み始めは、”姑獲鳥の夏”の京極堂シリーズだが、また今度で)。
妖怪の仕掛けが語られ、最後に仕掛けとその的に対する謎解きが語られる
という推理小説・ミステリ的なところも読ませ上手。

1作目は、巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)。怪談奇談の蒐集家・
山岡百介を狂言回しにして、御行の又市とその一味の仕掛けを目撃していく
というストーリー。
1作目なので、話のパターンに多少バラツキがり、そのパターンを模索している
ような感はあるが、秀逸な話もあってハマり初めの一冊。
又市が仕掛けの最後に”御行 奉為(したてまつる)”と言って、鈴を鳴らすのが
かっこいい。一味の面々も味があって、その掛け合いも笑ってしまうし、決して
善人を気取っているわけではないところもよい。話自体は悲しく切なく、
”人の業”を語っている。

小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、柳女、帷子が辻 の7編。
7編中で気に入っているのは、出会いの1編・小豆洗い、メタトリック?・舞首、
よく読むと泣ける・芝右衛門狸。この3編は秀逸です。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索